しっかり寝ているはずなのに…抜けない疲労感の正体
「はぁ…。最近、しっかり睡眠時間をとっているつもりなのに、朝から身体が重くて…。特に肩から首にかけてが、いつもガチガチなんです。」
「わかります、Reiさん!私も、子どもを寝かしつけた後、ソファでスマホを見ていたら、いつの間にか肩にぐっと力が入っていて。『ふぅーっ』って、ため息をつかないと息ができないような感覚になることがあるんです。」
「Reiさん、Konokaさん、お二人ともお疲れ様です。その『なんだか抜けない疲労感』や『無意識の肩こり』、実は多くの方が毎日何気なく行っている『呼吸』の質が関係しているかもしれませんよ。」
「呼吸、ですか?特に意識したこともなかったわ…。」
「息はしていますけど…それが疲労感に繋がるなんて、考えたこともなかったです。」
「そうですよね。でも、呼吸は私たちの身体の調子を整える、いわば『司令塔』のような存在なんです。もし、その呼吸が浅く、質が落ちてしまっていたら…。今日は、そのメカニズムと、心も身体も軽くする『ピラティスの呼吸法』について、ゆっくりお話しさせてくださいね。」
なぜ、私たちの呼吸は浅くなってしまうのか?
「呼吸が司令塔、ですか。なんだか重要な役割がありそうね。」
「はい。呼吸は、ただ酸素を取り込んで二酸化炭素を出すだけではないんです。自律神経のバランスを整えたり、体幹のインナーマッスルを働かせたり、血流を促進したりと、生命活動の根幹を支えています。でも、現代の生活は、この呼吸を浅くしてしまう要因で溢れているんですよ。」
「要因、というと?」
「例えば、長時間のデスクワークやスマホの操作。自然と頭が前に出て、背中が丸まりますよね。この『猫背』や『スマホ首』の姿勢では、肺が収められている胸郭(きょうかく)が圧迫され、呼吸で最も重要な筋肉である横隔膜(おうかくまく)の動きも著しく制限されてしまうんです。」

「確かに!パソコン作業に集中していると、自分がどんな姿勢かなんて全く意識していないわ。気づくと背中が丸まって、顎が突き出ている感じ…。」
「そうなんです。その姿勢では肺が十分に膨らむスペースがないため、身体は無意識のうちに、肩や首の周りにある『呼吸補助筋』と呼ばれる小さな筋肉を総動員して、無理やり息を吸おうとしてしまいます。これが、慢性的な肩こりや首こりの大きな原因の一つになるんです。」
「なるほど…!だから、息が詰まるような感覚と肩こりがセットでやってくるんですね。育児中の抱っこや授乳も、どうしても前かがみになりがちなので、同じことが言えそうですね。」
「おっしゃる通りです。それに加えて、精神的なストレスも呼吸を浅くする大きな要因です。緊張したり、不安を感じたりすると、交感神経が優位になり、身体は戦闘モードに入ります。すると呼吸は速く、浅くなります。その状態が続くと、心身がリラックスできず、疲労がどんどん蓄積してしまうという悪循環に陥ってしまうんです。」
「お話を聞いていると、全部当てはまる気がして…。呼吸って、本当に正直なのね。」
身体の芯から目覚めさせる「ピラティスの胸式呼吸」
「では、その浅くなってしまった呼吸を、どうすれば深く、質の良いものに戻せるんでしょうか?」
「そこで、ピラティスの出番です。ピラティスでは、『胸式呼吸(きょうしきこきゅう)』という呼吸法をとても大切にしています。これは、先ほどお話しした猫背の姿勢でカチカチに固まりがちな、肋骨を大きく広げて行う呼吸法なんです。」
「胸式呼吸…?腹式呼吸とは違うのかしら。」
「はい、良い質問ですね。リラックス効果が高いと言われる腹式呼吸は、お腹を膨らませたりへこませたりしますよね。一方、胸式呼吸は、お腹を薄く引き締めたまま、肋骨を左右や背中側へ大きく広げて息を吸い込むのが特徴です。」
「お腹を引き締めたまま、ですか?なんだか難しそう…。」
「ふふ、最初はそう感じるかもしれませんね。でも、この呼吸法には素晴らしいメリットがたくさんあるんですよ。まず、お腹のインナーマッスル(特に腹横筋)を意識的に使いながら呼吸するので、体幹が安定し、良い姿勢を保ちやすくなります。そして、固まっていた胸郭周りの筋肉がストレッチされ、横隔膜もしっかり動くようになるので、一度の呼吸で取り込める酸素の量が増えるんです。」
「酸素が増えるということは、血流も良くなりそうね!」
「その通りです!新鮮な酸素が身体の隅々まで行き渡ることで、血行が促進され、肩こりの原因となる疲労物質も流れやすくなります。さらに、深い呼吸は副交感神経を優しく刺激し、心身をリラックスモードに切り替えてくれるので、自律神経のバランスを整える効果も期待できるんですよ。」
まずは座ったまま30秒。心を落ち着ける「肋骨呼吸」
「もしよければ、今ここで一緒に簡単な呼吸法を試してみませんか?椅子に座ったままでできますよ。」
「はい、ぜひお願いします!」
「これを3回ほど繰り返してみましょう。…どうですか?少し胸のあたりがスッとして、背筋が伸びるような感覚はありませんか?」
「本当ですね!なんだか、身体の中に新しい空気がいっぱい入ってきたみたい。肩の力が抜けて、視界がクリアになった気がします!」
「これなら、仕事の合間や家事の途中でもできそう。意識するだけで、こんなに違うものなのね。」
「良かったです。そんな風に、日常の中に少しずつ取り入れていくだけでも、身体はきっと応えてくれますよ。」
「正しい呼吸」は、最高のセルフケア
「今日のお話、本当に目からウロコでした。今まで、疲れや肩こりの原因を外側にばかり求めていたけれど、自分の内側、それも『呼吸』にあったなんて。」
「ええ、本当に。自分の身体なのに、全く使い方を知らなかったんだなと実感したわ。この呼吸法をちゃんと身につけたら、もっと身体が楽になりそう。Mai先生のレッスンが、ますます気になってきました。」
「ありがとうございます。ピラティスのレッスンでは、一つひとつの動きと、この『胸式呼吸』を連動させていきます。そうすることで、身体の歪みを整えながら、しなやかで強い体幹を作り上げていくことができるんです。『正しい呼吸は、お金のかからない最高のセルフケア』だと、私は思っています。」
もし、あなたが今、原因のわからない不調や慢性的な疲労感に悩んでいるのなら、それは身体からの「もう少し、私に意識を向けて」というサインなのかもしれません。
一人で悩まないでくださいね。理学療法士としての専門知識を活かしながら、お一人おひとりの身体の状態に寄り添ったレッスンをご提供いたします。ご自身の身体と向き合う、穏やかで集中した時間を体験しにいらっしゃいませんか?
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